信濃路      和田 順子

信濃路は霧と雨とのしとどなる

人は野に林檎は花を付けてをり

水芭蕉うしろ姿の振り向かず

夏の霧十指たちまち湿り来る

山晴れてはや一匹の子蟷螂

追ひ越さぬほどに歩めり杜若