一句選評 (同人集より)  和田順子選 

    啓蟄や外に出ぬやう御触れあり  浅岡 えい子

  現在直面している社会問題を詠んでいながらなにか

 ユーモアがある。春になって地上に出たがっている虫たちに

 「出るな」の御触れである。外に出てはいけないのは、

ウイルス感染予防のための私たち。


 一句選評 (繪硝子集より) 和田順子選    

    酸葉嚙むしわくちやになるあの記憶  田中 幸三

 酸葉はすかんぽ。春に土手や荒れ地に自在して、その赤い

酸っぱい茎を齧って戦時中の空腹を紛らわしたものだ。作者にも

何かしわくちゃにして捨てたい記憶もあるのだろう。

 個性的だが実感がある。