清韻集・風韻集・同人集・繪硝子集より 和田順子選



 梅の実の落ちつぐひとつ頭打つ      鈴木 喜美恵

 沙羅の花曽良の三百年忌かな       藤田 純男

 サングラス似会ふ莬絲子でありしかな   向笠 千鶴子

苺盛る皿の真四角ま白かな        河合 寿子

高曇る浅間小浅間朴の花         波木井 洋子

餡パンを割れば洞あり梅雨晴間      小野田 征彦

一病の添うて安けし額の花        髙平 嘉幸

薫風や象舎に掲ぐ感謝状         石澤 青珠

桜桃忌教師失脚の日もありし       真塩 裕一

森林浴むささび橋を渡りけり       小林 邦子

池通るたび軽鳧の子を数へけり      近藤 れい 

目の端に夜更けの大き蟻一つ       宮原 圭子

でで虫やひとつに溶ける空と海      千葉 喬子

振り返るたびに青田の輝きぬ       吉田 七重

 

    上掲の作品について、一句鑑賞文をお寄せください。

   一句について200字以内、編集部宛てFAX042-473-3632

    にて
お送りください。掲載させていただいた場合、

    俳誌「繪硝子」を
贈呈いたします。

 

 選評一句 (同人集作品より)

 

   昼顔の花や客死の水夫の碑        槇 秋生

 

  昼顔は道端の草や木に絡んで、夏の間相当長く咲いている。

 薄紅のかれんな花は気を付けて見ればあちこちに見られる。


  客死した水夫の碑は、昼顔の咲く何気ない所に
あったのであろう。

 客死(かくし)といい、水夫という
ことは、戦争ではなく

 水難で亡くなった方を弔っている。
海の見える場所のような気もする。

この一句は、名詞と助詞で成り立ち、 動詞、形容詞がぜんぜん

 使われていない。にもかかわらず、深い内容を
持つ句が出来ている。
 
 そのことを良く考えよう。

 
 選評一句(繪硝子集作品より)

     

  時の日や創世記の章開けてあり      志村 紗稚

「はじめに神は天と地とを創造された」に始まる

  旧約聖書の
創世記の章であろう。

  時の日と、天地創造という悠久の物語を
取り合わせて、広がりの

  ある一句になった。時の記念日は六月十日。時間の貴重さを確認

  する日として、
1920年に制定されたが、天智天皇の時代に水時計に

  よる
時刻制度が出来たことを記念している。 いずれにせよ、

  私たち
には過去、現在、未来の時を持っている。大切にしよう。