清韻集・風韻集作品10句   和田 順子選


  かつしかの畑の黒土初明り       向笠 和子

  小つごもりまあるい穴に芥埋め     下鉢 清子

  ボロ市や射的の好きな女たち      北見 さとる

  隣り家の掲ぐ日の丸初明り       鈴木 喜美恵

  からくりの獅子に御慶を申しけり    古島 恒子

  良かつたかもしれぬ初夢忘れけり    河合 寿子

  八十路来るちよろぎちよろりと箸の先  長崎 友子

  サイフォンのことばポコポコ七日かな  小野田 征彦

  パソコンのブログの絵文字初日記    高橋 靖子

  冬ぬくし電車優しき込みぐあひ     金田 美穂
   
 
選評一句(同人集作品より)



    山といふしづかな力眠りけり     大町 湖月


 
「山といふしづかな力」は冬山らしい捉え方である。
 火を噴いている元気な山もあるが、大抵は静かな力によって出来た
 地表の皺が山である。
 「山眠る」の季語を別けて使ってあり、別けて使うことが問題にされ
 ることも事実だが、この場合、一句の意味は分けても分けなくても
 変わらない。

 
 
 選評一句(繪硝子集作品より)

      
    島国を開けし港や御代の春     志村 紗稚


 日米修好通商条約によって横浜港が開かれてから、今年は150年になる。
 横浜の作者もそのことに誇りを持っている。
 「御代の春」は古くは天皇制をさしたが、美しい言葉であるし、
 象徴天皇の世と解釈したい。
(寒満月猫は帰らぬかも知れぬ)もよかった。