今月の推薦句 和田順子選(清韻集・風韻集・同人集・繪硝子集より)

   

  おほつごもり月齢十五なるよろし   向笠 和子

  日だまりの葉牡丹の渦眠くなる    鈴木 万佐子

  人はみな灯へ戻りゆく時雨かな    細川 普士子

  鳥声に夜の離れゆくお元日      秦  光枝

  雪うさぎ溶けて山へと帰りけり    小松 洋子

  降りふりて根雪となりし安けさよ   佐藤 里秋

  咳込んで車中の孤立無援かな     石澤 青珠

  臘梅の花の終りは有耶無耶に     鈴木 薫子

  山並みの見てゐる暮し年逝けり    田島 昭代

  手鞠唄姉妹も母も在りし日よ     秋山 

  咳の児の小さなマスクアップリケ   志村 紗稚

  裏みちといふ親しさや初雀      近藤 れい

  初詣開運橋を渡りけり        今井 

  初雀ネクタイ締めて来たりけり    藤本 好子

  液状化してる団欒松の内       我妻 幸男

 

 

 

            上掲の作品について、一句鑑賞文をお寄せください。
     一句について200字以内、編集部宛て、FAX(042-473-3632)
     にてお送りください。 掲載させていただいた場合、
     俳誌「繪硝子」を贈呈いたします。



選評一句  (同人集作品より)

  雪ながら月のまろきを除夜詣    永見 るり草

 除夜詣は、大晦日に除夜の鐘を聞きながら、社寺にお参りすることで

ある。 「雪」と「月」と「除夜詣」と
季語が三つあるように思えるが

これは十二月
三十一日のこと。 そして、多分現実のことであったろう。

 元日が満月であったと記憶する。大晦日の夜に雪が降りながら月を

拝める偶然を作者は感動をもって詠んでいる。

 こんな偶然を感謝している気持も伝わる。 俳句は季語を詠むもの

ではなく、季節感を詠むものである。

「季重ね」がすべてに許されるということではない。

  

 
 

 選評一句  (繪硝子集作品より)

  初手水長寿心得掲げあり    志村 紗稚

 初手水は、新年初めて手を清めること。一年の始めを強く意識して
暮らしてきた私たちには「新年」に属する季語が大変多い。
春、夏、秋、冬という季語の他に「新年」という部立てのあることの
意味を、しっかり考えるべきである。
 さて、「長寿心得」はなんであったろう。穏やかな気持ちで日々を
過ごす、感謝の気持ちを忘れずに、などそれらしき言葉が浮かぶ。
神社に参詣の前に、手を清めて「長寿心得」を読まれたような気がする。