今月の推薦句 和田順子選(風韻集後半・同人集・繪硝子集より)

  草取るや少しの風を味方とし       岩田 洋子

     月首祭

  玉串を捧げて祭ひとつ終ふ        小野田 征彦

  蝉穴の数ただならず招魂社        石澤 青珠

  みちのくの風連れて来る鉄風鈴      山口 佐喜子

  スモークツリー咲いてあやふや梅雨の空  金山 征以子

  鎮もれる鍵屋の辻の夏落葉        古賀 幹子

  同郷の気安さにあり海鞘噛んで      吉村 ゑみこ

  だまされておくかなぶんの死んだふり   谷中 淳子

  片蔭といふものの無き地震の町      中野 冨美子

  梅雨晴間辯慶號の黒光り         小林 邦子

  梅雨明けや家とふ箱を開け放ち      久保 タツヱ

  万緑に乾杯しぼりたてミルク       千葉 喬子

  万緑や我にまだある力瘤         村上 徳男

  身を細うしてうすものに手を通す     竹内 令子

  夏草の伸びる音まで聞こえさう      田島 柳水

  夕闇をほぐして烏瓜の花         今井

 

   上掲の作品について、一句鑑賞文をお寄せください。
  一句について200字以内、編集部宛てFAX(042-473-3632)にて
  お送りください。掲載させていただいた場合、俳誌「繪硝子」を
  贈呈いたします。

 一句選評 (同人集より) 和田順子選

     梅雨晴間辯慶號の黒光り        小林 邦子

辯慶號は、明治時代に北海道で初めて走った蒸気機関車。

義経號とともに「カウキャッチャー」という牛避けが付いていて

いかにも北海道らしい。近年は役目を終えて神田の交通博物館に

展示されている。 「辯慶號」の旧字体が、この機関車の走っていた

時代を表している。何時の時代も人気のある蒸気機関車。

「黒光り」と捉えた所に、今に残る存在感がある。梅雨の晴間の明るい

日差しが、辯慶號を輝かしていたことだろう。


 一句選評 (繪硝子集より) 和田順子選    

     万緑や我にまだある力瘤        村上 徳男

 地上の植物の生命力を視覚的に捉えた万緑。 力強い季語である。

「我にまだある力瘤」も、今の
時期元気を貰える表現である。

青年時代に比べれば、
多少小さくなった力瘤であるが頑張れば力瘤が

出来る。
 嬉しい事である。

 大震災以後、被災地の方に心を合わせるのはいいのだが、共に嘆いて

マイナス思考にならないようにしたい。

 共に仕事を持つ娘夫婦は、金曜の夜行で立ち、日曜の夜遅く帰る

ボランティアを繰り返している。 「我にまだある力瘤」にも、

自分に出来る事を模索する思いが籠る。