今月の推薦句 和田順子選(清韻集・風韻集・同人集・繪硝子集より)


病む人の痛みを聞けり藤の花      向笠 和子

かはほりに青き夕べのありにけり    下鉢 清子

参道の陶炎祭り風薫る         北見 さとる

八十八夜鵜匠もいでて舟洗ふ      藤田 純男

蛙にも殿様がをり鳴き交す       古島 恒子

こんにやくの花茎すつくと春深し    河合 寿子

がび鳥の声のはなやぐ薄暑かな     杉山 京子

無患子(むく)の木の若葉さやさやひもす鳥   吉藤 とり子

薫風や上手に古りし栄螺堂       石澤 青珠

新緑をサラダにしたき朝かな      谷中 淳子

万緑や自家発電の湯が沸ける      田島 昭代

豌豆の筋とる誰も来ぬ日かな      同

オリーブの銀の葉うらや夏兆す     吉本 紀代

元寇の島の蛍の火色かな        向笠 千恵子

憲法記念日息吹きかけて眼鏡拭く    山口 冨美子

松の芯きりりと会津童子訓       千葉 喬子

行く春の貴船の杜の水占ひ       安原 憲子

畑仕事好きで牧師で五月晴れ      石澤 敏秀

夏服に羽化して少女よく笑ひ      田島 柳水

苺ミルク眼鏡大きな女の子       槇 秋生

職人の午後の休憩桐咲けり       吉田 玲子

カルピスの紺の水玉夏来る       吉田


   
     上掲の作品について、一句鑑賞文をお寄せください。
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    俳誌「繪硝子」を贈呈いたします。



 一句選評 (同人集より) 和田順子選

 憲法記念日息吹きかけて眼鏡拭く   山口冨美子

第二次大戦後の新しい日本国憲法は194753日に施行され、

 翌年国民の祝日になった。

今年はこの憲法の解釈について大きく取り上げられる年になった。

ここはしっかり憲法を読み直した国民も多かったであろう。

こういう情勢を踏まえて「息吹きかけて眼鏡拭く」を鑑賞すると

 大いなる意気込みまで感じられる。曇りやすい眼鏡のレンズを

 拭くだけのことが意味を持ってくるのである。

憲法の文言をクリアに理解されたであろう。


 一句選評 (繪硝子集より) 和田順子選    

 苺ミルク眼鏡大きな女の子      槇秋生

苺は一年中みられる果物になったが、旬はやはり初夏のものである。

真っ赤な苺にミルクを掛けて、一心に潰しながら食べている

眼鏡の大きな女の子である。

 鮮やかな映像の切り取りに感心した。近眼の大きな眼鏡は

賢そうに見える。 苺に取り掛かる様子も見える。

そしてなんと苺ミルクのおいしそうなことか。

 同人集の方の句は、完成度が高くあまり取り上げないことに

していたが、写生を超える写生を感じてほしいので取り上げさせて

いただく。