今月の推薦句 和田順子選(清韻集・風韻集・同人集・繪硝子集より)


内藤新宿滅法寒き日なりけり      下鉢 清子

あらたまの減塩食をつつしめり     北見 さとる

初明り木彫の鳥の飛ぶ構へ       向笠 千鶴子

馬の眼の濡れゐて雪となりにけり    波木井 洋子

駅伝の大地蹴り込む三日かな      久保田 庸子

内陣の灯りて静か年の内        石澤 青珠

竹林の風の騒ぎや開戦日        金山 征以子

なんの木とも知れぬ切株寒波来る    谷中 淳子

風神にとりつかれたるどんどの火    中野 冨美子

竹林の風にぎはしき松納        田島 昭代

三日月に金星の添ふ二日かな      向笠 千縁子

冬晴や鞍のやうなる浅間山       久保 タツヱ

セロリ食ふしやりしやりしやりと俳句論 倉橋

寒晴や高き足場を人走り        槇 秋生

ちやつきらこ一と日華やぐ磯の町    千葉 喬子

探梅や島のはづれのなんでも屋     山口 冨美子

数へ日や神馬の静かな目と合ひぬ    石澤 敏秀

十国は眼下やドローンの初景色     河角

地吹雪や色無き闇の迫り来る      橋本 うらら

一日中立ちつぱなしの霜柱       長谷川 修子

悲しんではをれぬ焼き芋屋がとほる   松岡 洋太

家家の明り洩らさぬ雪の嵩       斎藤 依子

正宗の鍛冶場の四手の淑気かな     長谷川 あや子

寄る波の下を引く波日脚伸ぶ      百瀬 七生子

初明り線路直ぐなる始発駅       吉本 安良



     上掲の作品について、一句鑑賞文をお寄せください。
    一句について200字以内、編集部宛てFAX(03-3999-0018)
    にてお送りください。掲載させていただいた場合、
    俳誌「繪硝子」を贈呈いたします。



 一句選評 (同人集より) 和田順子選

十国は眼下やドローンの初景色   河角

十国は、相模・武蔵・安房・上総・下総・駿河・遠海・

信濃・甲斐・伊豆を指す。これらを一望できる峠もあるが、

ドローンが眺めた初景色であると詠んだところが新しい。

 作者は傘寿を超えられたが、こんな若々しい句も詠まれて

よかった。ドローンは操縦士の乗らない無人飛行機で、

英語の雄の蜂を意味するらしい。とにかく新聞種になる。


 一句選評 (繪硝子集より) 和田順子選    

 家家の明り洩らさぬ雪の嵩    斎藤 依子 

 山形の冬の日常の風景である。淡々と詠まれているが雪に

 囲まれた生活はいかばかりかと想像する。

  雪の嵩はどの位だろうか。街灯も団欒の明りも覆う高さな

のであろう。大変と思う反面、囲われている安らぎもあるの

ではないだろうか。

 「かまくら」に入ったときのほっとする温かさを思い出す。