今月の三人集  和田順子選

   風韻集作家の中の、今月の推薦作家三人集です。

   牡丹の芽   指田 昌江

 朝の日の飛びついてくる牡丹の芽

 咳をして尾崎放哉思ひけり

 大仏の歩み出しさう春の月

 親鸞の流罪の浜に波の華

 早梅や母の忌日をあやまたず

 見守るが看護の極意春の雨

 

   はねず梅   小野田 征彦

 わらび餅問はず語りの話聞き

 春遅し京の土産の木版画

 しばらくは梅の香りの中にゐる

 はねず梅咲き出す便り菟絲子の忌

 安産の御札参りや梅の花

 のどけしや海岸通りの駅に降り

 

   野水仙    田島 昭代

 雪積り無音の春を灯しけり

 山の日の確かさ節分草咲けり

 如月のひかり麹の花咲かす

 午まつり林の奥へ野兎かくれ

 まんさくの花や潰えし遍路石

 峡の家の石垣古りぬ野水仙


 一句選評 (同人集より)  和田順子選 

     大寒波銀嶺富士に一穢なし  清水 善和

   富士を見た時の作者の感動がよく表れている。

いつも富士山を見られるところにお住まいだが、

格別の富士であった。

寒波が大気を吹き払い雪の富士には一つの穢れも

なく端然と輝いている。自分の気持にも日本の未来

にも重ねて感動されたのであろう。


 一句選評 (繪硝子集より) 和田順子選    

    信念を曲げずに太る氷柱かな  珍田 ミヱ子

  毎日氷柱を見て暮らす環境でなければ詠めない句で

あろう。軒にも崖にも日ごとに太くなっていく氷柱を

「信念を曲げずに」と感じ取った。

 雪は降っても解けた雪が氷柱になることはまずない

土地に住んでいるので、日ごとに太る氷柱は厳寒の

厳しさを思わせる。