今月の三人集  和田順子選

   風韻集作家の中の、今月の推薦作家三人集です。

    酉の市   森島 弘美

 木洩れ日の参道細し酉の市

 手拍子にをさな児もをり一の酉

 幾筋の路地の賑はふ酉の市

 軒下に芋茎の干され旧街道

 待合の紅葉かつ散る日の淡し

 平成の最後の日展輝けり

 

   古季語研究会  槇 秋生

 文化の日絶滅古季語研究会

 吹かるるや鬼の捨子のもぬけ殻

 枯菊に生薬の香のありにけり

 酉の市出店明りに惹かれ来ぬ

 国分寺の塔を遥かに木守柿

 鰭酒や頭上を電車過ぐる音

 

   寒雀   村上 德男

 新聞を読む青年や文化の日

 三島忌や風に吹かれて銀座のバー

 わだかまりほどきつつあり温め酒

 神苑の日だまり拾ひ寒雀

 立冬や男松すつくと姿よき

 武蔵野の土の香りや大根引く


 一句選評 (同人集より)  和田順子選 

   開戦日飛行機雲の崩れゆく  長谷川 あや子

  128日は、日本軍が真珠湾に攻撃して太平洋戦争に

 没入していった日である。「開戦日」として歳時記に載って

 いないことが多いが、例句はたくさん作られている。

  「飛行機雲の崩れゆく」は、日常的によく見かける景で

 あるが、「開戦日」に合わせて詠むと、その戦争の結末をも

 詠んでいるようで内容が深い。


 一句選評 (繪硝子集より) 和田順子選    

    気がつけば戸山ケ原に時雨かな  吉瀬 公夫

   どこか山深いところの地名と思うが、都心も真ん中

  新宿区中央部を占める地名である。もとは原野で陸軍の

  練兵場があったところ。戦後解放され戸山アパートが

  出来た。

   作者は新宿区にお住まいなので、戸山ケ原と呼ばれて

  いたころの歴史もご存じなのだろう。わが町の時雨がよい。