今月の三人集  和田順子選

   風韻集作家の中の、今月の推薦作家三人集です。

   去年今年  宮田 美知子

 歳末のふと寛げば雲白し

 コーヒーの香りにうかぶ去年今年

 ケーキの灯吹き消し卒寿の二日かな

 いつまでと思ふ二日の祝いごと

 正月の病棟しんと鎮もりぬ

 雲白く機影ゆつくり七日かな

 

   初富士  髙平 嘉幸

 初富士や小誌なれども守らねば

 灯されて冬桜照る二天門

 仁清の壷に釘付け年惜しむ

 太箸や妻逝きてはや十五年

 争ふかに見えて仲良き寒鴉

 美しき付会ひ長し冬椿

 

   茶の花  髙野 ふよ子

 改元の年迎へたり淑気満つ

 茶の花や平均寿命とうに過ぎ

 初夢や存外彼の世楽しさう

 初釜に古稀還暦の弟子揃ふ

 隣家の灯耿耿として寒の入

 春隣京都みやげの金平糖

 一句選評 (同人集より)  和田順子選 

   けふの音生まるる前の初明り  小林 千秋

 初明りは元日の空が明けようとして明るくなって

 いるようす。年の初めの厳かな静寂である。そして

 初めての音はなんであろう。鳥の声であろうか、風

 音であろうか、火を焚く音であろうか。

  「けふの音生まるる前の」静けさが、元旦の引き

締まった気分を伝えている。

 一句選評 (繪硝子集より) 和田順子選    

   初釜や(ちゃく)()菓子  山崎 あや

  お正月初めての茶事を初釜という。あらたまった

 雰囲気を感じさせる。袴を着てのお点前、お菓子は

 越後の銘菓、名詞だけで詠まれているので情景が

 はっきり見えてくる。

  なんだか招かれてお茶席にいるようだ。一年の

 けじめに、こんな雰囲気に浸るのも大事なことと

 思う。